第9章
第9章:光の子
太陽の子 —遥かなる宇宙への旅—(文章:Cloude 3.7 sonnet)
シャドウ・イーターの脅威が去った後、小惑星帯の施設内は静寂に包まれていた。太郎は床に立ち、自分の体から放たれる青白い光を見つめていた。その輝きは徐々に落ち着き、通常の金色の炎のような姿に戻りつつあった。
「信じられない…」ネプチューンは茫然としていた。「あなたは死ぬはずだった。しかし、逆にさらなる力を覚醒させた」
両親の映像も驚きの表情を浮かべている。
「これは予想外の展開だわ」母親が言った。「あなたの中には、私たちの予測をはるかに超えるエネルギーが眠っていたのね」
父親が分析するように太郎を見つめた。「まるで…宇宙そのものからエネルギーを引き出しているかのようだ」
太郎は手のひらを見つめた。その中に宿る力は、もはや彼自身のものとは思えないほど強大だった。しかし、不思議なことに恐怖は感じなかった。むしろ、この力と共に生きることが自然なことのように思えた。
「私は…何者なんですか?」太郎は両親に問いかけた。
父親の映像が近づいてきた。「我々の研究によれば、あなたは異次元空間で誕生した際、宇宙のエネルギーの一部を取り込んだ可能性がある。それがあなたの特異な能力の源なのだろう」
「太郎」母親の声が優しく響く。「あなたはもはや単なる人間ではないわ。宇宙と直接つながる、新たな生命体よ」
施設の通信システムが突然作動し、画面に太陽系評議会のソルの姿が映し出された。
「太郎、無事だったか」ソルの声には安堵が混じっていた。「シャドウ・イーターが消滅したことを確認した。君がやったのだな」
「はい…なんとか」太郎は答えた。
「太陽系全体に及ぶ特殊エネルギー波を検知した。我々の予測をはるかに超える規模だった」ソルの声には尊敬の念が感じられた。「評議会に戻ってきてほしい。太陽系の全ての代表が君に会いたがっている」
太郎はネプチューンを見た。彼は静かに頷いた。
「行きましょう」太郎は決意を新たにした。「でも、その前に…」
彼は両親の映像に向き直った。「二人に会えて、本当に嬉しかった。ありがとう」
「太郎」父親の声が震えていた。「私たちは誇りに思うよ」
「この施設のシステムは、太陽系評議会に移植することができます」母親が説明した。「そうすれば、私たちの意識も一緒に移動できるわ」
太郎の顔に笑顔が広がった。「それなら、また会えますね」
施設のデータを収集し、両親の意識を保存したコアユニットを取り外した後、太郎とネプチューンは宇宙船で太陽へと向かった。
旅の途中、太郎は窓から広がる宇宙の景色を見つめていた。星々の輝きが、以前とは違って見える。まるで、それぞれの星が彼に語りかけているかのようだった。
「変わったな」ネプチューンが操縦席から声をかけた。
「はい…全てが違って見えます」太郎は静かに答えた。「宇宙が…生きているように感じるんです」
数日後、彼らは太陽に到着した。前回訪れた時とは異なり、太陽の周囲は穏やかで、シャドウ・イーターの姿はなかった。
太陽系評議会の入り口から中に入ると、全ての代表者たちが整列して太郎を迎えた。中央にはソルが輝いていた。
「太郎、太陽系の救世主よ。我々は感謝の意を表します」
評議会の全メンバーが一斉に拍手した。太郎は恥ずかしさを感じながらも、堂々と前に進んだ。
「皆さん、私は特別なことはしていません。ただ、与えられた力を使っただけです」
ソルが前に進み出た。「謙虚さも君の美点だ。だが、君がシャドウ・イーターの脅威から太陽系全体を救ったことは事実だ」
太郎は持参したコアユニットを差し出した。「私の両親の意識がここに保存されています。評議会のシステムに接続できますか?」
技術者たちがユニットを受け取り、数時間後、両親の映像が評議会の中央ホログラムに映し出された。太郎は安堵の表情を見せた。
「太陽系評議会は特別な決議を採択した」ソルが厳かに宣言した。「太郎、我々は君に太陽系市民権を授与する。これにより、君はあらゆる惑星で正式な身分を持ち、自由に移動する権利を得る」
太郎は感動のあまり言葉を失った。長年求めていた公式な身分。それがついに手に入ったのだ。
「さらに」ソルは続けた。「我々は君に新たな使命を提案したい。宇宙エネルギーと直接つながる能力を持つ君は、太陽系の防衛において重要な役割を果たせるだろう。太陽系の平和維持官として、我々と共に働いてほしい」
会場が静まり返った。全ての目が太郎に注がれている。
「私は…」太郎は一瞬考え、そして決意を固めた。「お受けします。しかし、一つ条件があります」
「何だろう?」ソルが尋ねた。
「地球に戻り、育ててくれた家族に会い、今までの経緯を説明したいんです。そして…」太郎は少し照れながらも続けた。「淑淑に、全てを話したいんです」
ソルは光を明るく脈動させた。「もちろんだ。君には地球と宇宙を行き来する自由がある」
「ありがとうございます」
太郎の心は新たな希望で満ちていた。彼はもはや身分のない孤児ではなく、太陽系全体を守る責任を持つ存在となったのだ。
評議会の儀式が終わった後、太郎は両親の映像と言葉を交わした。
「これからどうするの?」母親が優しく尋ねた。
「まずは地球に帰ります。そして、また戻ってきて、皆さんと一緒に働きます」太郎は笑顔で答えた。
「太郎」父親の声には誇りが満ちていた。「君は我々の期待をはるかに超えた。これからの君の旅が、光に満ちたものでありますように」
太郎は地球に向かう小型宇宙船に乗り込んだ。窓から見える太陽は、以前よりもずっと明るく、親しみを感じるものに見えた。
「帰るぞ、地球」
船は光速に近いスピードで宇宙空間を進んでいった。太郎の胸には、新たな使命と、愛する人々に再会する喜びが広がっていた。
公開日: 2025/6/4文字数: 2413文字