第7章
第7章:小惑星帯の秘密
太陽の子 —遥かなる宇宙への旅—(文章:Cloude 3.7 sonnet)
太陽を後にした宇宙船は、火星と木星の間にある小惑星帯に向けて進んでいた。船内では、太郎がネプチューンから宇宙の歴史と太陽系評議会について話を聞いていた。
「太陽系評議会は、各惑星の代表者によって構成される組織だ。太陽系の平和と発展を守るために存在している」
「地球からも代表者が?」太郎は驚いて尋ねた。
ネプチューンは微笑んだ。「もちろんだ。ただ、地球人の大多数はその事実を知らない。地球代表は、極秘裏に選ばれた人間たちだ」
窓の外では、無数の星々が静かに輝いていた。太郎は自分の両親について考えていた。彼らはどんな人たちだったのか。なぜシャドウ・イーターの研究をしていたのか。
「両親についてもっと教えてください」
「フレア号の首席科学者だった二人は、素晴らしい人間だった」ネプチューンの目が遠くを見つめる。「特に、エネルギー研究の分野では天才的な才能を持っていた。彼らが消息を絶ったとき、太陽系は重要な防衛手段を失ったんだ」
会話は続いたが、やがてネプチューンは操縦に集中する必要があると言い、太郎は一人で考え事をすることになった。
数日後、宇宙船は小惑星帯に到達した。無数の岩石が宇宙空間を漂っている光景は、壮大で神秘的だった。
「ここから先は注意が必要だ」ネプチューンは慎重に船を操縦した。「小惑星同士の衝突で進路が予測できないものも多い」
船は慎重に小惑星の間を縫うように進んだ。やがて、クリスタルに記録されていた座標に近づいていった。
「あれは…」
前方に、他の小惑星とは明らかに異なる物体が見えてきた。完全に球形で、表面が滑らかだった。直径は数百メートルほどあり、暗い金属のような質感を持っていた。
「人工物だ」ネプチューンが言った。「これが両親の残したものかもしれない」
船は球体に接近し、周囲を一周した。表面には入り口らしきものは見当たらなかった。
「どうやって中に入るんだ?」太郎が疑問に思った時、突然クリスタルが明るく光り始めた。
「クリスタルが反応している!」
太郎がクリスタルを手に取ると、球体の表面に変化が現れた。一部が溶けるように開き、内部への通路が現れたのだ。
「どうやら、お前を待っていたようだな」
二人は宇宙船を球体に接続し、内部へと足を踏み入れた。中は意外にも明るく、長い廊下が広がっていた。壁には見慣れない文字や図形が刻まれている。
「この文字は…古代太陽語だ」ネプチューンが説明した。「太陽系最古の共通言語だが、今ではほとんど使われていない」
廊下を進むと、広い円形の部屋に出た。中央には大きな装置があり、その周りには様々な機器が配置されていた。
「これが両親の研究施設か」
太郎が部屋に足を踏み入れた瞬間、天井から光が降り注ぎ、彼を包み込んだ。
「太郎!」ネプチューンが叫んだが、太郎は動けなくなっていた。
光の中で、太郎の前に映像が浮かび上がった。それは彼の両親の姿だった。
「我が子よ、ようこそ」父親の声が響いた。
「ついにここまで来てくれたのね」母親の優しい声が続く。
「これは…録画ですか?それとも…」
「いいえ、これは私たちの意識の一部」母親が答えた。「私たちの体は失われたが、研究の重要性から、意識だけはこの施設に残しておいたの」
「本当に…両親なんですね」太郎の声は震えていた。長年探し求めてきた両親と、ついに対面したのだ。
「その通り」父親が頷いた。「でも今は感傷に浸っている時間はない。シャドウ・イーターの脅威は増している。彼らが太陽を完全に消費すれば、太陽系全体が滅びる」
「どうすれば止められるんですか?」
「この施設には、シャドウ・イーターを撃退できる装置がある」母親が説明した。「だが、それを起動させるには特殊なエネルギーが必要なの。それが…あなた自身のエネルギーよ」
父親が続けた。「あなたは異次元空間で私たちのDNAから生まれた。その過程で、シャドウ・イーターに対抗できる唯一のエネルギー波形を持つようになったんだ」
そのとき、突然警報音が鳴り響いた。
「警告!接近する物体を検知」施設のAIが告げた。
ネプチューンが窓から外を見て、顔色を変えた。
「シャドウ・イーターだ!どうやってここを見つけたんだ?」
「おそらく太郎のエネルギー波形を追跡したのでしょう」父親の映像が言った。「彼らにとって、太郎は最大の脅威であり、同時に最高のエネルギー源でもあるのです」
窓の外では、黒い霧のような物体が徐々に施設に近づいてきていた。
「時間がない」母親の声が急いだ。「太郎、あなたは選択をしなければならないわ。装置を起動させれば、シャドウ・イーターを撃退できる。でも、そのためには…」
「自分のエネルギーのすべてを使い切ることになる」父親が厳しい表情で言った。「つまり、あなたの命と引き換えになるかもしれないんだ」
太郎は唖然とした。自分の命と太陽系の未来。その選択を迫られるとは思ってもいなかった。彼の前には、最大の試練が立ちはだかっていた。
公開日: 2025/6/4文字数: 2099文字