第5章
第5章:太陽系評議会
太陽の子 —遥かなる宇宙への旅—(文章:Cloude 3.7 sonnet)
太陽の外殻に開いた巨大な入り口を通り抜けると、太郎の目の前に信じられない光景が広がった。太陽の内部は、想像していた灼熱の炎の海ではなく、巨大な空洞空間になっていた。そこには未知の技術で作られた都市が浮かんでいた。建物は半透明の結晶のようで、様々な色の光を放っていた。
「これが…太陽の中?」
太郎は呆然と周囲を見回した。球体は彼を導きながら説明を始めた。
「太陽内部に存在する別次元空間。太陽系評議会本部」
空間内には様々な形態の生命体が行き交っていた。人間に似た姿のものもいれば、まったく異なる形状の存在もあった。彼らは皆、太郎を好奇心あふれる目で見つめていた。
球体は太郎を巨大な円形の建物へと導いた。建物の内部は広大な議場になっており、異なる惑星を代表する者たちが円形に並んで座っていた。中央には何もない空間があり、その上部には巨大な光の球体が浮かんでいた。
「無登録生命体を発見。特異なエネルギー波形を持つ」
案内役の球体がアナウンスすると、会議は中断され、全ての注目が太郎に集まった。
「前に出なさい、地球からの訪問者よ」
その声は、どこからともなく響いてきた。太郎は緊張しながらも、中央の空間へと進み出た。
「私は太陽系評議会の議長、ソルです」
中央上部の光の球体が明るく脈動した。それが議長の声の源だった。
「俺は太郎。地球から来ました」
太郎は精一杯の礼儀で自己紹介した。
「何の目的で太陽を訪れたのですか?」
「自分の出自を知るためです。俺は地球で孤児として育ちました。でも、頭から出る炎と太陽の類似性から、もしかしたら太陽が何か知っているかと思ったんです」
ソルと他の評議員たちの間で、何かの交信が行われているようだった。やがて、ソルが再び太郎に語りかけた。
「あなたのエネルギー波形は、確かに特異です。我々のデータベースで照合してみましょう」
中央空間に、太郎の体から放出されるエネルギーの波形が光の映像として映し出された。それは複雑な模様を描いており、太郎自身も初めて見る自分の内なる姿だった。
「照合完了。類似波形を検出」
ソルの声に、太郎の心臓が高鳴った。
「三十地球年前、太陽観測船『フレア』が行方不明になりました。乗組員の中に、あなたと極めて近いエネルギー波形を持つ二人がいました」
スクリーンに映し出されたのは、一人の男性と女性の姿だった。男性は太郎と同じように、頭から炎のようなエネルギーを放っていた。女性はより穏やかな輝きを持っていたが、確かに同種の波形が見て取れた。
「この二人が…俺の両親?」
太郎の声は震えていた。
「可能性は高いでしょう。彼らはフレア号の科学者夫妻でした。任務中に異常な太陽フレアが発生し、船は消息を絶ちました」
「生存の可能性は?」ようやく言葉を絞り出した太郎に、ソルは静かに答えた。
「不明です。しかし、あなたの存在は、彼らが何らかの形で地球に到達した証拠かもしれません」
突然、警報音が鳴り響いた。同時に、議場の壁面に映像が映し出された。太陽の外側で、何かが接近していた。
「警告。不明船団接近中。敵対的行動パターン検出」
評議会は騒然となった。ソルが声を上げる。
「太陽防衛システム起動!全員、非常態勢に入りなさい」
混乱の中、一人の評議員が太郎に近づいてきた。彼は人間に近い姿をしていたが、皮膚は青みがかっていた。
「私はネプチューン、海王星代表です。あなたの両親の友人でした」
彼は太郎に小さなクリスタルを手渡した。
「これは彼らの研究データです。もし彼らが生きているなら、これがあなたを導くでしょう」
太郎がクリスタルを受け取ると同時に、再び警報が鳴り響いた。
「侵入者接近!評議会防衛網突破!」
ネプチューンは太郎の肩を掴んだ。
「ここは危険だ。脱出しなければならない」
太郎の前に待ち受けていたのは、新たな危機と、両親についての手がかりだった。彼の冒険は、予想外の方向へと進み始めていた。
公開日: 2025/6/4文字数: 1675文字