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第4章:宇宙への飛翔

太陽の子 —遥かなる宇宙への旅—(文章:Cloude 3.7 sonnet)

第4章の挿絵
明け方の静けさの中、太郎は海岸に立っていた。彼の姿は一見すると奇妙だった。全身をワークマンで購入した改造ジャケットで覆い、頭部には手作りのヘルメットを装着している。背中には小さなリュックを背負い、その中には淑淑の描いた絵と数日分の食料が入っていた。 「いよいよだな」 太郎は深呼吸をした。早朝の空はまだ暗く、星々が輝いていた。太陽はまもなく昇るだろう。その方向を見定めた太郎は、心を落ち着かせ、体内のエネルギーを集中させた。 「行くぞ!」 彼の頭と口から一斉に炎のような熱気が噴出した。その推進力で太郎の体は徐々に浮き上がり、やがて地面から数メートルの高さに達した。バランスを取るのに少し苦労したが、訓練の成果が現れ、安定して浮遊できるようになった。 「よし、次は上昇だ」 太郎は口からの噴射を強め、ぐんぐんと高度を上げていった。海岸線、そして町全体が小さく見え始めた。雲を突き抜けると、朝日が水平線から顔を出し始めていた。 「あそこだ!」 太郎は太陽に向かって全力で噴射した。大気圏を抜けると、周囲は急に静かになった。無重力状態に戸惑いながらも、太郎は方向を修正し、太陽へと進路を取った。 宇宙空間は想像以上に美しかった。無数の星々、遠くに見える青い地球、そして輝く太陽。太郎は一瞬、その景色に見とれてしまった。 「すごい…こんな世界があったんだ」 しかし、宇宙は美しいだけでなく、危険も潜んでいた。太郎が進んでいくと、突然小さな隕石群が彼の前に現れた。 「うわっ!」 咄嗟に体を捻って避けようとしたが、一つの隕石が太郎の腕を掠めた。幸い、耐熱ジャケットが衝撃を吸収し、大きな怪我は免れた。 「危なかった…気をつけないと」 太郎は慎重に隕石群を抜け、再び太陽への旅を続けた。時間の感覚は曖昧になっていったが、太陽は徐々に大きく見えるようになってきた。 そんな時、遠くから奇妙な光が近づいてきた。それは小さな球体で、青白い光を放っていた。 「あれは…何だ?」 警戒する太郎の前で、球体は停止した。そして突然、球体から声が聞こえてきた。 「地球人類、識別番号を示せ」 太郎は困惑した。識別番号など持っていない。 「俺は…太郎だ。識別番号はない」 球体は一瞬沈黙した後、青白い光が強まった。 「無登録生命体。検査が必要」 光の球体は太郎を包み込み、彼の全身をスキャンするような感覚があった。そして、突然光が消え、球体の色が緑に変わった。 「特異な生体エネルギーを検知。太陽系評議会への報告が必要。同行せよ」 太郎は迷った。この謎の球体について何も知らない。しかし、「太陽系評議会」という言葉に興味をそそられた。もしかすると、自分の出自について何か知っているかもしれない。 「評議会ってのは、太陽にあるのか?」 「肯定。主星に本部あり」 太郎は決断した。 「わかった、案内してくれ」 球体は方向を変え、太郎の前方を飛んでいく。太郎はその後に続いた。彼の旅は思わぬ展開を見せ始めていた。燃え盛る太陽の表面が、徐々に大きく見えてきた。 「こんなに近づいても大丈夫なのか?」 不安がよぎったが、球体は確かな道筋で太陽へと導いていた。やがて、太陽の外殻に巨大な開口部が見えてきた。太郎の冒険は、まだ始まったばかりだった。
公開日: 2025/6/4文字数: 1387文字