第3章
第3章:旅立ちの準備
太陽の子 —遥かなる宇宙への旅—(文章:Cloude 3.7 sonnet)
「太陽に会いに行く?冗談じゃないよね?」
淑淑は太郎の決意を聞いて、呆れた表情を浮かべた。二人は淑淑のアトリエで向かい合っていた。
「本気だよ。俺の出自を知るには、太陽に会うしかないんだ」
太郎の目は真剣そのものだった。頭から放たれる炎も、いつになく強く輝いていた。
「でも、太陽までどうやって行くつもりなの?宇宙船でも作るの?」
淑淑の皮肉めいた質問に、太郎は真顔で頷いた。
「そうだよ。俺専用のロケットを作るんだ」
淑淑は溜息をついた。太郎の突飛な発想は子供の頃から変わらない。しかし、彼の決意の強さもよく知っていた。
「わかったわ。でも、無茶はしないでね」
太郎は早速、宇宙旅行に必要な知識を集め始めた。図書館で宇宙に関する本を片っ端から読み漁り、夜には星空を観察した。
「まず必要なのは、推進力と保護服か…」
太郎は自分の能力を確認するため、空き地で実験を行った。深呼吸をして集中すると、頭だけでなく口からも炎のような熱気を放出できることがわかった。
「これなら、ロケットエンジンの代わりになるかもしれない!」
次に必要なのは、宇宙の過酷な環境から身を守る装備だった。太郎は町中の店を巡り、素材を探し回った。
「熱に強くて、軽量で、体を保護できるもの…」
ある日、太郎は建設現場の前を通りかかった。作業員たちが着ている作業服が目に留まった。
「あの服、丈夫そうだな」
太郎は近くのワークマンに足を運んだ。店内には様々な作業服が並んでいた。
「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」
「宇宙に行けるような服です」
店員は一瞬困惑したが、太郎の真剣な表情に何か感じるものがあったのか、特殊な作業ジャケットを勧めてくれた。
「これは最新の耐熱素材で作られていて、かなりの高温にも耐えられます。軽量で動きやすく、保温性も抜群ですよ」
太郎は手に取ったジャケットの質感に満足し、即決で購入した。
家に戻った太郎は、購入したジャケットを改造し始めた。ヘルメット部分を追加し、全身を覆えるように調整した。
「これで宇宙空間でも生きていける…はずだ」
次に、太郎は飛行訓練を始めた。夜の海岸で、口からの噴射を使って飛ぶ練習をした。最初は数メートルしか飛べなかったが、日々の訓練で徐々に高度と距離を伸ばしていった。
「太郎、本当に行くつもりなのね」
訓練を見に来た淑淑は、もはや止めようとはしなかった。代わりに、太郎の旅立ちの絵を描き始めた。
「ああ、必ず太陽に会って、俺の正体を突き止めてくる」
準備が整った夜、太郎は淑淑の両親と淑淑に感謝を伝え、旅立ちの決意を新たにした。
「行ってきます。必ず戻ってきますから」
淑淑は完成した絵を太郎に渡した。そこには、太陽に向かって飛んでいく太郎の姿が、希望に満ちた筆致で描かれていた。
「これを持っていって。あなたの帰りを、私たちは待ってるから」
太郎は絵を大切に鞄に納め、明日の旅立ちに向けて最後の夜を過ごした。彼の心は既に、はるか彼方の太陽へと向かっていた。
公開日: 2025/6/4文字数: 1282文字