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第4章 「奪われた石」

命の石 - 造物者の筆跡(文章:GPT4.1、画像GPT4o)

第4章の挿絵
夜が明けきらぬうちに、村は不穏な空気に包まれていた。 領主の使者たちは村のあちこちを見張り、李春の家の周囲にも目を光らせていた。李春は石を懐に隠し、家族とともに身を潜めていたが、心の奥底では、石を守りきれる自信が揺らいでいた。 その夜、村の広場で火の手が上がった。誰かが納屋に火を放ったのだ。村人たちは慌てて水を運び、火を消そうと奔走する。混乱の中、李春の家の戸が激しく叩かれた。使者たちが押し入ってきたのだ。 「石を出せ! さもなくば、村を焼き尽くす!」 李春は必死に抵抗したが、数人がかりで押さえつけられ、ついに石を奪われてしまう。妻の梅花は泣き叫び、李春は無力感に打ちひしがれた。使者たちは石を手に入れると、すぐさま馬車に乗せ、村を後にした。 石が去った後、村には奇妙な静けさが訪れた。だが、すぐに異変が起こる。村の畑は一夜にして枯れ始め、家畜は次々と倒れ、村人たちの顔色も日に日に悪くなっていく。李春は、石が村にとってただの災いではなく、何か大切な均衡を保っていたのだと気づく。 一方、石を手に入れた領主・王玄の館でも、不可解な出来事が起こり始めていた。王玄は石を玉座の間に飾り、力を得ようと祈りを捧げるが、家臣たちは次々と病に倒れ、館の中には不吉な影が差し始める。 李春は、村を救うために石を取り戻す決意を固める。 その夜、夢の中で再び外套の男が現れ、李春に静かに告げた。 「石の本当の力を知る時が来た。お前の旅は、ここから始まる。」 李春は目を覚まし、決意を胸に村を見渡した。 石を巡る新たな運命が、彼を待ち受けていた。
公開日: 2025/6/3文字数: 679文字