第3章
第3章 「村を包む闇」
命の石 - 造物者の筆跡(文章:GPT4.1、画像GPT4o)
村の外れから響いた叫び声に、李春は胸騒ぎを覚えた。まだ夜明け前の薄暗い空の下、村人たちが次々と家から飛び出してくる。李春も石を懐にしまい、急いで声のする方へ向かった。
叫び声の主は、村の若者・趙明(ちょうめい)だった。彼は地面に膝をつき、何かに怯えたように震えている。その傍らには、村の老犬が倒れていた。だが、犬は死んでいるはずなのに、目を見開き、口元からは生温かい息が漏れている。趙明は泣きながら叫んだ。
「死んだはずの犬が、動き出したんだ! 俺の目の前で!」
村人たちは恐怖に顔をこわばらせ、誰も近づこうとしない。李春は、胸の奥で石が脈打つのを感じた。まるで石が、何かを呼び覚ましているかのようだった。
そのとき、領主の使者たちが現れた。彼らは村人たちを押しのけ、犬を調べ始める。使者の一人が李春に鋭い視線を向けた。
「お前が、例の石を持っている李春か?」
李春は無言でうなずいた。使者は冷たく言い放つ。
「領主様は、その石をすぐに差し出すよう命じている。拒めば、村に災いが降りかかるぞ。」
村人たちは李春を責めるような目で見つめた。李春は石を握りしめ、心の中で葛藤する。石を渡せば、村は救われるのか。それとも、さらなる災いが訪れるのか。
その夜、李春は再び夢を見る。夢の中で、あの外套の男が現れ、静かに語りかける。
「石の力は、まだ目覚めの序章にすぎぬ。お前が選ばれた理由を、いずれ知ることになるだろう。」
李春は目を覚まし、石を見つめた。村の外では、使者たちが焚き火を囲み、何やら密談をしている。
石を巡る争いの火種が、いよいよ村を包み始めていた。
公開日: 2025/6/3文字数: 689文字