2

第2章 「影の訪れ」

命の石 - 造物者の筆跡(文章:GPT4.1、画像GPT4o)

第2章の挿絵
翌朝、李春は昨夜の出来事が夢だったのではないかと疑いながらも、石を手に取ってみた。石は相変わらず温かく、淡い光を放っている。妻の梅花は、李春の様子がどこかおかしいことに気づき、「あの石は本当に大丈夫なの?」と心配そうに尋ねた。李春は「ただの石さ」と笑ってみせたが、心の奥底では不安が膨らんでいた。 村では、石を手に入れてからの異変がますます広がっていた。村人の間では、石の噂がささやかれ始め、「李春の家に神の石がある」と言いふらす者まで現れた。子どもたちは興味津々で李春の家の前をうろつき、老人たちは「天の怒りを買うぞ」と眉をひそめる。李春は村人たちの視線にさらされ、次第に孤立していく。 そんなある日、村の広場に見慣れぬ馬車が現れた。馬車から降り立ったのは、領主・王玄の使者である若い男だった。彼は村人たちを集め、威厳ある声で告げた。 「この村に、奇跡の石があると聞いた。領主様がその石をお望みだ。」 村人たちはざわめき、誰もが李春の方を見た。李春は胸が締めつけられる思いだった。使者は李春の家にやってきて、石を差し出すように命じた。李春は断ろうとしたが、使者の目は冷たく、逆らえば何が起こるかわからない気配が漂っていた。 その夜、李春は石を抱いて眠った。夢の中で、再びあの外套の男が現れた。男は李春に静かに語りかける。 「石を手放してはならぬ。石は選ばれし者のもとにあるべきだ。」 李春は「私は何も知らない。ただの農夫だ」と訴えるが、男は微笑み、李春の肩に手を置いた。 「お前の運命は、すでに石と結びついている。」 目が覚めると、李春の手の中には、しっかりと石が握られていた。外はまだ薄暗く、村の静けさの中に、遠く馬のいななきが響いていた。領主の使者たちが村に残り、石を探し続けているのだ。 李春は、石を守るべきか、差し出すべきか、心の中で葛藤し始める。 そのとき、村の外れで不気味な叫び声が上がった。何かが、村に近づいている――。
公開日: 2025/6/3文字数: 828文字