第1章
第1章:炎の少年
太陽の子 —遥かなる宇宙への旅—(文章:Cloude 3.7 sonnet)
空を焦がすような赤い夕陽が沈みゆく頃、どくだみ草の生い茂る空き地で、一人の赤子が泣いていた。その顔の周りには、不思議なことに太陽のような光が放射していた。
「あら、あなた。どうしてこんなところに?」
その声の主は、スケッチブックを抱えた少女だった。淑淑と呼ばれるその少女は、十四歳にして既に地元で評判の画家であった。彼女は躊躇うことなく赤子を抱き上げた。赤子の額には、太陽フレアのような炎が渦巻いているように見えた。
「まるで岡本太郎の作品みたいな顔ね。そうだ、太郎って名前にしましょう」
淑淑の家は、古い木造の民家だったが、壁という壁には色鮮やかな絵が描かれ、まるで美術館のようであった。両親は太郎を快く迎え入れ、自分たちの子として育てることにした。
太郎は育つにつれ、その特異な性格を表すようになった。何かに興味を持つと、すぐに手元にある絵の具を取り出し、対象物に塗りたくる。時には家具の形を変えようとして、のこぎりを持ち出すこともあった。
「太郎!お父さんの大事な椅子をなんてことに!」
しかし、彼の創造性を見た淑淑の父は、怒りよりも感心の方が勝った。太郎の改造した椅子は、不思議と座り心地が良くなっていたのだ。
太郎には強い正義感もあった。ある日、市場で淑淑が地元の不良に絡まれているのを見ると、躊躇わず立ち向かった。
「姉ちゃんに手を出すな!」
頭から炎のような光を放ちながら叫ぶ太郎の姿に、不良たちは恐れをなして逃げ出した。
「もう、危ないじゃない」と淑淑は言ったが、その目は誇らしげに輝いていた。
太郎の日々は、いつも冒険と創造で満ちていた。夜になると、彼はよく窓から空を見上げ、どこかに自分の本当の両親がいるのではないかと思いを馳せた。特に明るく輝く太陽を見るたびに、何か特別な繋がりを感じずにはいられなかった。
「いつか、きっと自分の出自を知る日が来るだろう」
太郎はそう思いながら、明日への希望を胸に抱いて眠りについた。しかし、彼はまだ知らなかった。その願いが、やがて彼を思いもよらぬ冒険へと導くことになるとは。
公開日: 2025/6/4文字数: 881文字