ビルの隙間に　切り取られた空

流れる雲を　ガラスが映す

雑踏の音(ね)は　いつしか遠く

風が静かに　頬を撫でてく

「これが最後」と　胸の奥で声がした

駅の階段も　コンビニの灯りも

千切れ雲みたいに　ひとつひとつ

頼りなく揺れて　淡く滲んでく

角を曲がれば　いつもの影が

夕陽に伸びて　僕を追い越す

見慣れたすべてが　愛しくなって

呼吸するたび　空を見上げる

すれ違う顔　もう会えない人の群れ

僕がいた場所　僕が生きた熱

過ぎ去った日々は　あの雲のように

二度と同じ形には　なれないんだね

さよならは流れてく　あの雲と同じように

風にただ心を預けて　どこへ行くか知らなくてもいい

形を変えることを　もう恐れないでいよう

どんな僕も僕だと　空が静かに見てるから

改札抜けた　あの日の空も

こんな茜色に　染まっていたっけ

雨雲さえも　追いかけるように

がむしゃらな風に　吹かれていたんだ

眩しかった朝も　眠れなかった夜も

降らせた雨は　乾いた胸を

少しは潤して　くれたのかな

気づけば空は　高く澄んでいた

さよならは流れてく　あの雲と同じように

風にただ心を預けて　どこへ行くか知らなくてもいい

形を変えることを　もう恐れないでいよう

どんな僕も僕だと　空が静かに見てるから

夢を見たんだ　ナイフを握る僕がいた

風に逆らい　形を保とうと

必死だったのかも　しれないね

でも刃は下ろした　流されるままに

闘うだけが強さじゃないと

やっと気づいたんだ

さよならの向こうへ　心は旅をしてゆく

新しい風に吹かれて　また違う形になるだろう

灰色の日も　光射す日もあるだろうけど

見上げる空は繋がってる　だからもう大丈夫

ありのままに流れてく

僕は空の旅人