砂埃がユニフォームに描いた　週末の模様

駆け抜けたグラウンド　揺れてる陽炎

エースナンバーじゃなかったけど　誰より声を出した

喝采のためじゃなく　チームっていう舟のため

イヤフォンで塞いだ耳に　ドロップアウトしたヒーローの歌

だけどこの街の裏通りじゃ　そんな夢は見つからない

賢いフリして僕は選んだ　白線の内側を

人波っていう安全地帯で　迷子になってた

高く上がったフライ　夕陽に溶けて消えた

見えないボールをただ信じて　腕を伸ばしていた

泥だらけで空振ったって　胸を打つ確かな痛み

それが「本気だった」ってことの　たった一つの証明だったのに

満員電車に揺られながら　知らない顔してる

これが僕の選んだ道だと　何度も頷いた

「これでいいんだ」って言葉は　逃げ道だったのかな

アスファルトの隙間に落とした　昨日のかけら

ふと窓に映る僕は　少し疲れているけど

あの頃の少年みたいに　何かを探してる目だ

つまらない大人になったと　笑うのはまだ早いだろう

鼓動が忘れてないんだ　あの土の匂いを

心という名のグラウンドに　今も影が伸びて

見えないボールを追いかけてる　僕がまだそこにいる

忘れたはずの悔しさが　チクリと疼くたびに

「終わりじゃない」って声がする　風に混じって聞こえてくる

グローブを壁に掛けた日　そっと誓ったんだ

心の隅で燃え始めた　小さな炎は

どんな悲しい雨が降っても　消さないように守るって

それが僕でいるための　たった一つのプライド

世界から光が消えて　グラウンドが眠りについても

僕の心の灯りだけが　そのボールを照らしてる

なくしたんじゃない　ずっと胸の奥にあったんだ

もう一度、強く打ち返すんだ　空の向こう側へ

まだ、ゲームは終わらない