正しさの名を背負った　錆びつくコート

ほつれた縫い目から　時の埃が舞う

誰にも託せず編んだ　孤独な指先は

夜の冷たさに　震えを隠せなくて

ねえ　何度だって同じ夢を彷徨い

瀬戸際で抱きしめる　消えかけのぬくもり

もうそっと手放していいかい　この震える肩を

胸に鳴りやまぬ痛みは　聴き飽きたメロディー

夜明けの気配に　まぶたがそっとほどけて

預かったはずの　小さな火種（ほだね）が揺れる

部屋を満たすのは　静寂の冷たい刃

水際で消えかけた　かすかな声がした

咄嗟に抱き寄せ　ベッドの奥へ引き込み

「大丈夫だよ」と囁きながら

温めていたのは　震えていたのは

本当は僕の　止まらぬ鼓動だった

ねえ　何度だって同じ夢を彷徨い

瀬戸際で抱きしめる　消えかけのぬくもり

もうそっと手放していいかい　この震える肩を

胸に鳴りやまぬ痛みは　聴き飽きたメロディー

理想を描いた地図は　滲みてほころびかけ

新しいページはまだ　純白のまま眠ってる

天秤も　ものさしも　もう必要ないと気づいた

誰かの影に寄せる　ため息に別れ告げて

ほこり舞う光が　差し込む朝を踊らせ

変わらぬ流れの中で　僕はただ在る

このギターの弦に　僕だけの歌を乗せて

この刹那を抱きしめ　そっと爪弾いてみる