第10章
第10章 「新たなる創生」
命の石 - 造物者の筆跡(文章:GPT4.1、画像GPT4o)
玲花は、朝の光の中でスケッチブックをそっと閉じた。
昨夜の出来事が夢だったのか現実だったのか、まだ判然としない。しかし、彼女の心には確かな温もりと、静かな決意が宿っていた。
発掘現場では、玲花の描いた埴輪たちが、まるで生きているかのように柔らかな表情を浮かべていた。発掘隊の人々はその変化に驚き、やがて誰もがその場に立ち尽くし、静かに手を合わせた。玲花は、埴輪の一体にそっと手を触れた。
すると、埴輪の中から淡い光が溢れ、玲花の手のひらに小さな石が現れた。それは、かつて李春が見つけ、争いと奇跡をもたらした「命の石」だった。
玲花はその石を手に取り、ふと空を見上げた。すると、空の彼方に崑崙の山々が幻のように浮かび上がり、李春や蘇蓮、そして造物者の姿が微笑みながら見守っているのが見えた。玲花は涙をこぼしながら、石に語りかけた。
「私は、もう争いのためにこの力を使わない。命を描き、命を守るために、この石を返します。」
玲花が石を地面にそっと置くと、石は静かに土へと溶けていった。その瞬間、発掘現場の埴輪たちが一斉に光を放ち、まるで大地そのものが新たな命を祝福するかのように、草花が咲き乱れ始めた。発掘隊の人々は歓声を上げ、玲花はその中心で、静かに微笑んだ。
だが、そのとき、玲花の背後から小さな声がした。
「お姉ちゃん、これ、玲花が描いたの?」振り返ると、見知らぬ少女が玲花のスケッチブックを手にしていた。少女の瞳は、どこか懐かしい光を宿している。玲花ははっとして、その少女の手を取った。
「あなたの名前は?」
少女はにっこりと笑い、「李春」と答えた。
玲花は驚き、そしてすべてを悟った。命の石の力は、時を超え、形を変え、また新たな命の物語を紡ぎ始めているのだと。玲花と少女は手を取り合い、春の陽射しの中を歩き出した。
命は、争いの果てにではなく、優しさと創造の中で受け継がれていく。
そして、物語はまた、誰かの心の中で静かに始まる――。
公開日: 2025/6/3文字数: 830文字